蒸留所訪問記(1) 宮城峡蒸溜所(ニッカウヰスキー)
新シリーズの蒸留所訪問記。
第1回は昨年12月に訪問したニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所です。
2日に分けて訪問したため、天候の違う写真が入り乱れているのはご容赦下さい。
さて、宮城峡蒸溜所の最寄り駅、仙山線の作並駅です。一応仙台市内ですが、仙台駅と山形駅のほぼ中間の山深い場所に位置します。
ここから蒸溜所までは徒歩30分。なかなかの距離です。公共交通機関を利用する場合(お酒を飲みたいなら当然ですよね)は駅から徒歩の他に、土日祝運行の無料シャトルバス、タクシー、または仙台駅から出ている市営バスの選択肢があります。
1回目の訪問時は一時ブリザードのような吹雪で、そんな中スーツケースを引きながら必死に30分歩いた苦い思い出が…
作並駅にはコインロッカーのような施設は一切無いので、大きい荷物を持っている場合は必ず仙台駅等のコインロッカーを利用しましょう。
歩くこと25分、やっと蒸留所入口に到着です。
しかしビジターセンターは敷地の一番奥。ここから更に5〜10分程度敷地内を歩きます。
歩く途中、何やら怪しい袋が。
これは、、恐らくカフェ式蒸留器で蒸留されるグレーンウイスキーの原料ですね。
とうもろこしだとは知っていましたが飼料と共通だったとは。
ようやく到着です!
ご覧の通り、敷地内には空中に電線がありません。竹鶴政孝のこだわりで地中化されたそう。
白州ほどではありませんが、自然と調和していますね。
ビジターセンターは2017年3月にオープンしたばかりで、ピッカピカでした。
ビジターセンター内は展示品が充実していて、小規模なウイスキー博物館のようになっていました。麦芽やピート、そして各種ウイスキー製品の香りが体験できる展示があるのがグッドです。
これはニッカの第1号ウイスキー。ブラックニッカ、ハイニッカ、スーパーニッカの復刻版も出たことですし、これの復刻版も出してくれないかな。瓶の形が好きなので部屋に飾りたいです。
ここからは無料(!)の蒸留所ツアーに参加して製造工程を見て行きます。まずビジターセンター内のシアターで映像を見て、屋外へ。
これはニッカの誇るカフェ式蒸留器の入った建物。もともと西宮工場に設置されていたものが1999年にここに移設されたらしいです。
カフェ式蒸留器についてはこちらの記事が非常に詳しく分かりやすいのでご覧下さい。
連続式蒸留器はやはり高濃度アルコールが発生して危険なのか、どこも見学できないんですよね。一度見てみたいなあ。
その隣にあるのがキルン塔。原料の麦芽を乾燥させる設備ですね。1969年の蒸留所操業開始から1975年まで実際に使用されていたようです。現在はスコットランドから乾燥済みの麦芽が輸入されています。
こちらは原料を貯蔵するサイロです。
次は仕込棟へ。ここにはマッシュタン2基、醗酵槽22基があります。ツアーは立ち止まらずどんどん進むため、これしか撮れませんでした。
そしてお次は蒸留所見学のクライマックス、スチルハウス。ポットスチル(単式蒸留器)が初留用、再留用各4基の計8基あります。
宮城峡蒸溜所のポットスチル形状はバルジ型、上向きラインアームで、ガス火蒸気間接蒸留です。
余市とは全く異なるこの設備が宮城峡の原酒の個性を生み出すわけですが、詳しくはこちらのページをどうぞ。
このようにスチルに注連縄が掛けられているのが日本らしくて良いです。
スチルハウスの外に出ると、樽を積んだフォークリフトが走っていました。大きさ的にシェリー樽かな?
見学の最後は貯蔵庫。樽の内部の様子、熟成過程の変化が学べます。12年で半分まで蒸発してしまうんですね。
宮城峡蒸溜所には26棟の貯蔵庫があるようですが、この貯蔵庫は現役ではなく見学用と思われます。
ツアーの最後にはお待ちかねの試飲タイム。
試飲できるのは竹鶴、スーパーニッカ、アップルワインの3種類。シングルモルト宮城峡が無いのは残念ですね…(※現在は竹鶴が宮城峡に変更されているようです)
水、氷、炭酸水も用意されているので、好きな飲み方で楽しむことができます。
ツアーはここで解散で、物足りない人には有料試飲があります。一部の人にはこっちがメインですね(笑)
有料試飲のメニューはこちら(2017年12月19日現在)。
はい、驚異の安さですね。竹鶴21年が500円って…
宮城峡10年、12年など終売品も揃っています。ウイスキー好きとしては何度でも訪れたい天国です。
この他にカフェジン、カフェウォッカ、限定品もあります。
飲みたいウイスキーが多過ぎて選べない!という方のために香りを試す用のグラスまで用意されています。至れり尽くせり…
一つ問題を挙げるとすると、有料試飲はショットグラスは提供されること。テイスティンググラスではないので香りを楽しみにくいんですよね。
ショップは圧巻の充実ぶりです。サントリーの蒸留所とは比較になりません。蒸留所限定ウイスキーも種類豊富です。
全部欲しい…
財布と相談して涙を飲んで蒸留所を後にしました。
最後に
まさに峡谷(グレン)に位置した良い蒸留所でした。
有料試飲や売店も充実しており、遠方からでも訪れる価値はあります。仙台や山形に行く機会のある方は是非行ってみて下さい。
蒸留所限定品の比較テイスティングや一般の見学コースとは異なる貯蔵庫の見学も含まれる有料ツアーもあるとのことで、次に訪れる機会にはそちらに参加してみたいと思います。